2025年7月に開催したACEオフサイト・ミーティングで、清水建設株式会社より、障がい者雇用の現状と、社員の家族支援に関する取り組みについて話していただきましたので、その一部をご紹介します。
正社員雇用にこだわる理由
清水建設では、障がいのある従業員をすべて正社員として雇用しています。特例子会社や専用部署は設けず、同一職場・同一処遇での就業を原則とすることで、「特別扱いではなく、自然な共存」を目指しています。
2025年7月時点での障がい者雇用率は2.48%。一時的に法定雇用率を割り込んだことを受け、採用強化と定着支援に注力中です。高齢化や退職、病気による離職などが要因となっており、今後は若年層の採用と職域拡大が課題とされています。
通院に対応する「特別休暇制度」
障がいに起因する定期通院に対応するため、清水建設では年次有給休暇とは別に「特別休暇(有給)」を付与しています。制度導入の背景には、年休不足による給与カットや、上司による運用格差の是正ニーズがありました。
2023年の契約社員制度廃止に伴い、全社員が正社員化されたことで、就業規則の統一と制度整備が急務となり、同年4月より運用が開始されました。この制度は、社員の働きがいやエンゲージメント向上にも寄与しているとのことです。
社員発の「家族コミュニティ」
2024年、社員有志が自発的に開始した「障がいのある子どもの家族コミュニティ」は、現在約20名が参加。社内SNS「Engage」や同好会サイトを活用し、情報交換・相談・交流の場を提供しています。
懇親会やミーティングでは、進学・就労・自治体支援制度・転勤時の不安など、リアルな悩みが共有され、共感と安心につながっています。発起人の「枠組みを保ち続ける責務」という言葉が、活動の意義を象徴しています。
会社主導ではなく、社員発の活動であることから、支援のあり方や関わり方については慎重な検討が続いていますが、今後はACE企業間での連携も視野に入れています。
全社的な啓発と災害対応
清水建設では年1回、「チャレンジフォーラム」というイベントを実施しています。
毎年、全社から役員を含む400名以上が参加。2024年度は全役員参加を必須とし、障がい者雇用の意義をみんなで再確認しました。新任役員には「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」研修を必須化し、これまでに1,500名以上が受講しています。
また、障がいのある社員向けの建設現場・社内施設見学会や、火災避難訓練への参加も積極的に実施。災害時の対応においても、障がい者を「災害弱者」としてではなく、主体的な参加者として位置づけることにこだわっています。
「制度」と「風土」の両輪で進むインクルージョン
清水建設の取り組みは、「制度があるから安心」ではなく、「制度を活かせる風土があるから安心」という実感を社員に届けることを重視しています。障がい者雇用においては、精神・発達障がい者の受け入れ体制強化が急務とされており、今後も制度・風土・支援の三位一体での取り組みが求められています。ACEでも会員企業間でお互いの実践知を共有し合いながら、誰もが安心して働ける職場づくりを進めていきたいと考えています。
創業1804年という歴史をベースに、制度と風土の両面から「インクルーシブな職場づくり」に挑んでまいります。



