障害のある学生・大学と企業間の就活のギャップを縮める
第3回 学との連携部会懇談会を開催

一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(以下、ACE)は、障害のある学生の企業への就業をより推進するための情報交換・懇談会の第1回を2020年11月に開催しました。その後、ACEと大学関係者、各地の大学関係者同士のコミュニケーションを密にし、定常的に情報共有が可能なネットワークを築き、学生支援体制を強化するために、第2回を2021年9月に、そして第3回目となる同会を2021年12月に開催しました。
障害のある学生や卒業生のキャリア支援・就職サポートを行なっている株式会社エンカレッジ 代表取締役 窪 貴志 氏をゲストスピーカーに迎え、そのお話をベースに参加いただいた大学で学生の就労支援を担当している方々とACE会員企業メンバーでディスカッションを行いました。

障害のある学生と企業の間で発生しやすい3つのギャップ

大学関係者と企業の人事担当者間でディスカッションを行うためのキーとなるトピックを株式会社エンカレッジの窪様よりご紹介いただきました。
就職を考える際、一般の学生より障害のある学生の方が比較的考慮すべき要素が多めになるということです。例えば、必要な配慮や生活環境・通勤手段においてどうしても考慮すべき条件が出てきます。企業側も業務内容や人事雇用形態にさまざまな条件や配慮事項を準備します。ここに、障害のある学生・大学側と企業側に発生しやすい3つのギャップがあると指摘・紹介いただきました。

1.障がい者雇用の種類が複雑
福祉的就労や一般と同じ就労、ひとえに障がい者雇用といっても企業ごとに考え方が異なり、同じ企業グループでもさまざまな採用形態を持っていてわかりにくい。
2.採用プロセス・採用基準の不明確さ
求人内容と仕事内容、条件を明確に示す企業、本人の資質を見極めながら会社の中で必要とされる部署を探す調整型の採用プロセスがある。後者が学生の特性を考慮して配属部署調整できる利点があるが、一方で相談できるまでどのような仕事があるのかわかりにくい。
3.障がい者雇用の受け入れハードルが高い
企業としては、安定性・集団行動・顧客に価値を出せる生産性に重きがおかれ、障がい者雇用の基準が学生・大学と企業で異なってくる。

働いてダメなら戻っておいでという想いもある大学側と責任を持って雇用したいとする企業側にギャップがあるから仕方がないではなく、そのギャップをどう縮めていけるかをACEの提供するこうした場で双方考えていきたいとお話しされました。

障害のある学生の就活におけるACEへの期待

エンカレッジ 窪様のお話をベースに、参加いただいた大学で学生の就労支援を担当している方々とACE会員企業メンバーでディスカッションを行いました。ACE会員企業メンバーで当懇談会推進リーダーである株式会社堀場製作所 グローバル人事部の島津 悠貴さんにお話をお聞きしました。

グループに分かれてのディスカッションでは、どのような意見が交わされましたか?
島津
 企業におけるインターンシップ・プログラムの重要性を多くの大学関係者の方から指摘されました。障害のある学生は、アルバイトの経験も少なく、いかに早く就業体験ができるかがずっと課題になっているとのことです。就労支援機関と協力しながら短時間のアルバイトをインターンシップとして提供してもらったり、ACEのインターンシップ・プログラムへの参加を促す活動をされています。
またACEインターンシップに参加された学生のフィードバッグが大学側にあるととてもありがたい、就業体験時の困りごとや本人の理解促進にとても有益との意見もいただきました。

インターンシップの他にACEに対して期待されていることなどはありましたか?
島津
 ACE会員企業で働く障害のある社員の方々の就活ストーリーの共有や職場での体験談を聞きたいという声が多かったです。就職活動において難しかったこと、失敗から学んだこと、自身の障害をどのようなタイミングでどのように企業側に伝えたなど具体的な情報を望まれています。OBOG訪問をしたいけれど各企業ごとでは数が少なく探すのも困難なので、そうした体験談がホームページなどにあれば、それを学生と一緒に見て就職活動に生かしたいという意見がありました。エンカレッジ様からも、ACE会員企業に内定いただいた学生さんへのインタビューができたらと提案もいただきました。
また、障害のある学生が企業との対話に向けた準備で配慮事項を作成することの是非が議論されました。日々の生活でサポートが必要な困難事項がたくさんあると就職に不利にならないか心配という意見がありました。企業側からは、そうした項目の詳細があると具体的な対策を実施できるのでありがたいし、就職後に配属先での配慮にも活用できます。学生は、企業で働いた経験がないので、求める配慮も的外れなものがあるかもしれません。ACEでその配慮事項を事前に精査する機会があるとよいかもしれません。

大学関係者との懇談会は、今後どのように実施していかれますか?
島津
 これまでの3回の開催で、学生・大学側、企業側双方の課題の抽出と共有、そしてその課題解決にこのような懇談の場が必要ということがわかりました。次回以降は、具体的に課題の解決や双方で実施できる施策、またエンカレッジ様のような支援機関と協業して、障害のある学生が十分に能力を発揮するための具体的なプランを策定していく会にしたいと考えています。

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