ACEオリジナルプログラム/相談会レポート 株式会社LIXIL

学との連携部会 ―イベントレポート
ACEオリジナルプログラム/相談会レポート [1]

議論の結論:住まいや商品の前提は安心・安全。
便利さはその次に来る

株式会社LIXIL

ACEは会員企業の合同企画として、2018年より障がいのある大学生を対象としたインターンシップを開催して来ました。2023年は第6回を数えます。就業のための事前の勉強、自己の強みはどこにあるか、などを認識できるキャリアセミナーとも連動しているのが特長です。これにより障がい学生の皆さんはACEとつながることができ、業種の異なるいろいろな企業の企画に複数回参加することができます。また、企業もACEを窓口として日本中の多くの大学とコンタクトすることが可能です。

建築材料・住宅設備機器の国内最大手企業である株式会社LIXIL(本社・東京都品川区)では、Webによる相談会を2023年8月30日から9月5日まで、対面による「ワン・デイ・オリジナルプログラム」を8月28日に開催しました。

対面型の「ワン・デイ・オリジナルプログラム」は住宅を丸ごと1軒再現したような大きなショールームがある新宿区西新宿の高層ビルで行われました。この日参加した学生は、男性2名、女性3名の合計5名。午後1時から5時まで、さまざまなプログラムに挑戦しました。

今回はこの「ワン・デイ・オリジナルプログラム」の様子をご紹介します。

障がいのある学生の方への就職活動講座

この日の案内人は、人事担当の柄本充章さん。最初のプログラムは柄本さんの「就活講座」です。

  • 職場や仕事と自分のマッチングを最も大事に考えよう。人生において、働くとはどういうことでしょう。1日8時間、定年まで約40年間、計算すると人生の半分ほどを働くのです。自分にマッチする企業や仕事をみつけないと、人生の半分が残念な状態で過ぎてしまいます。
  • 企業にはさまざまな仕事をする部署が多数あります。障がいのある人への配慮ができる企業また職種でなくては、マッチングは難しい。
  • 採用について、一般枠と障がい者枠を設けている会社が多くなっています。障がい者枠とは、障害者手帳を持っている人を対象にしています。障がい者枠を設けている会社は、社内での配慮を前提にしています。一般枠と障がい者枠、両者にはどういう違いがあるか、就活時に確認することが大事です。
  • 選考する企業の目線からは、面接の際には自己管理ができる人かどうか、前向きで明朗であるか、論理的に自分の考えを述べることができるか、チームワークできるか、経験がないことにも挑戦する意欲があるか、組織の中での自分の仕事の意味を理解し指示されたことを執行できるか、こういった点を見て合否を判定します。
  • その上で、障がいのある学生については、自分の障がいをどう受容し、理解し、知ってもらう努力をしているかも重要なポイントになります。自分の障がいを受容できていると他者にも自分を知ってもらえ、サポートや支援を求めることもでき、組織の一員としてうまく力を発揮し健康に気をつけて、長く働いてもらえるからです。
  • 障がいを知ってもらう、つまり自己開示は大事です。しかし、面接の冒頭で「私にはこういう障がいがあります。
    御社ではどのような配慮ができますか」という開示をすると、『当社の仕事には興味・関心はないのかな』と思われてしまいます。そうではなくて、「御社でこういう仕事をしたい。しかし私にはこういう障がいがあります」という流れで開示すると、面接官に理解してもらいやすくなります。
  • まとめとして、企業と皆さんのマッチングの秘訣としては、自己認識と適切な自己開示、その企業で働きたいという意志を示し動機を高める、といった点が大事です。

障がいのある先輩社会人からのメッセージ

LIXILには全国に約300人の障がいのある社員がいます。300人を代表して、2名の先輩からのメッセージが、ある日の仕事の動画とともに紹介されました。

最初の先輩は長島 理さん。障がいは脊髄損傷です。大学・大学院とも化学を専攻し、2005年の入社以来水まわり、衛生設備の汚れに関する新製品の開発などにあたってきました。同時に、スポーツマンとしても長く活動し、東京2020パラリンピックではパラ・バトミントン競技で5位入賞という輝かしい成績をおさめています。

「LIXILは障がい者やLGBTなどへの理解が進んでいる会社。自分の実力を発揮できる環境がある。あなたの得意なこと、好きなことは何か認識して、来年またここで会えますように! 頑張ってください!」

もう1人は、清水 卓大さん。職場で「手話教室」を主宰し、手話の普及とコミュニケーションの拡大に努力しています。

LIXILの会社紹介

担当の柄本さんからLIXILの詳細な会社紹介があり、障がいのある人の採用についても、次のような状況が紹介されました。

  • LIXILでは全国で約300人の障がい社員が活躍している。雇用率は2023年8月現在で2.52%と、法定雇用率2.3%を超える水準にある。特例子会社は置かず、障がいのある社員は、本体ですべて採用した人たち。障がいのある人もない人も、一緒に同じ職場で業績に貢献する、インクルージョンの文化を目指しています。
  • 流れとしては、障がい者枠にエントリーしてもらいオンラインで簡単な面談をして、どういう仕事をしたいかをヒアリングします。その後筆記試験を受けてもらう。その後約1週間程度のインターンシップを経験してもらい、LIXILが自分にとって最適な職場かどうかマッチングを確かめてもらいます。結果、LIXILに入りたい、と思えるようでしたら、面接に進んでもらいます。

障がいのある先輩社員との座談会

休憩をはさみ、先ほど動画メッセージを送ってくれた清水卓大さんを囲む座談会を行いました。情報保障のため、手話通訳も入りました。5名の学生からは以下を始めたくさんの質問がありました。清水さんからはとても丁寧に、そして「前向きで行きましょう」という励ましを込めた回答があり、和やかで活発な座談会となりました。

Q. 就活は1社だけにしぼったか? / Q. どんなことを大切にして就活を乗り切ったか? / Q. 生まれつきのハンデ
を企業の人が分かってくれるか、とても心配。 / Q. 就活中はどういう観点から企業を見ていたか? / Q. 仕事上で人とのコミュニケーションはどうすれば良いか? / Q. 仕事をしていてどういう時にやりがいを感じるか? /
Q. 障がいがあれば福祉で生きていけるのに、どうして働くのと聞かれたら? / Q. 個人生活は充実させられますか?

ショールーム見学=実はディスカッションの課題

最後のプログラム約1時間はLIXILの誇るショールームの見学。始めはアテンド付き、後半はフリーに見学という楽しい時間です。しかし実はこれは最終盤のフリーディスカッションで意見を述べ合うための見学であることが、出発前に説明されます。テーマは「40代の夫、30代の妻、子ども2人。この家族が豊かで快適に暮らすにはどういう商品があると良いか」です。

見学終了後、ディスカッションが始まりました。住まいはどうあれば豊かで快適か、まだ大学生の皆さんには実感がわかない様子でしたが、ショールームの感想から始まり意見はだんだん収れんしていきました。

そして最後に、「住まいや商品が安心・安全であるべきが前提。その次に便利さが来る。誰にとってどういうことが便利かは、最終的には同じになるのではないか。優しい配慮に溢れた住まいは、子どもにも、障がい者や高齢者にも、みんなに便利だから」という全員の意見が発表されました。

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