ACEキャリアセミナー 2023

学との連携部会 ―イベントレポート
ACEキャリアセミナー2023

自分の「強み」を知り、就活と仕事に活かそう

ACEオリジナルプログラム/相談会と連動した障害のある学生と企業・先輩社員をつなぐACEキャリアセミナーを、2023年9月6日にオンラインで開催しました。
キャリアセミナーは、先輩社員や企業の人事担当者から直接話を聞き、就職・就労に関する疑問や不安を解消し、学生・企業相互で理解を促進することを目的としています。
企画・運営はACE会員企業のメンバーで行い、下記の3つのアプローチで構成しています。

1. ストレングスファインダー(StrengthsFinder)による診断結果「5つの強み」を参考に、自身の特性や可能性についてポジティブな関心を高める
2. ACE会員企業で実施するオリジナルプログラム/相談会との相乗効果で「就業理解」を深める
3. 障害のある先輩社員や、他の障害のある学生、人事系担当者等との交流を通じて、就職・就労に関する疑問や不安を解消し、理解と関心を高めるとともに、ストレングスファインダーを通して「自己理解」を進め、今後のキャリア検討につなげる

上記アプローチのもと、参加した先輩社員のスピーチののち、ラウンド・テーブル(ストレングスファインダーの結果の考察による自己理解、就業理解)によるディスカッションを行いました。

参加学生からの質問や感想、先輩社員・各ACE会員企業人事担当者からのアドバイスなどの一端をご紹介します。

参加学生と先輩社員のQ&A

Q. 職場ではコミュニケーション力が大事と聞くが、私のSF結果では5位までにコミュニケーション資質が入っていない。会社には向かないのでしょうか?

A. 5位までに入っていないだけで、コミュニケーション力がないわけではありません。これからどんどん人と知り合って、努力すれば力は付いてきます。「強み」は活かし、弱い点は少しずつでも改善できるよう意識して伸ばしていきましょう。

Q. 志望動機はどのくらい重視されますか?

A1. 抽象的に「御社で活躍したい」ではなくて、会社説明会を聞いたり、企業のHPで調べたりするなど企業研究をした上で、その企業の事業に沿った志望動機であることが大事です。
A2. 企業は中長期の経営計画、経営ビジョンを持っていて、HPにも書かれています。そこから逆算して、「私はこういうことをしたい」と表明するといいですよ。

Q. 学生時代にやっておいた方がよいことはありますか?

A. 何をしたら有利かではなく、何か一生懸命やったことや達成したことがあれば、それを話してみたらどうでしょう。

Q. 職場では障害をどの範囲の人にまで伝えたらよいですか?

A. 人事担当からあなたの上司へ、そこから同僚へと話してくれる場合が多いですが、ストレスなく働くのが一番ですから、配慮をお願いしたい場合はあなたからも身近な同僚・チームの人たちに伝えておくことが大事です。

学生たちからのセミナーの感想の一例

・こういう貴重な機会を作っていただき、ありがとうございます。まだイメージは具体化していませんが、今日学んだ
ことを活かして1年後にはしっかり就活します。
・学校の友人は障害のある学生ではないので、何となく話せなかったことも今日は同じ仲間として話しやすかった。
同感できる質問がありました。
・障がい学生に特有の悩みがあったが、それを話せて安堵しました。
・先輩たちの話が聞けて、とてもよかった。こういう機会はあまりないので貴重です。
・SFで自分の強みを確認できてよかった。強みを就活にどう活かすか、先輩から話を聞けて参考になりました。

先輩社員の自己紹介とメッセージ

株式会社JTBデータサービス 袴田 久実子さん

私は3年生の4月頃から就職活動を開始しました。なかなか結果が出ず悩んでいたとき、障害のある先輩に会って相談すると、「ハローワークに行ってみたら」と勧められました。ハローワークでは「東京都視覚障害者支援センター」を紹介され、そこでパソコンの訓練を受けました。2023年1月末、JTBデータサービスの会社説明会に参加、その後面接を経て採用になりました。

「先輩からは『面接では自分のビジョンを語るといいよ』と助言され、社長面接で『障がい者が気軽に旅行できる社会を創りたい』と語りました。現在は営業部に属し、障害に関する情報発信と、企業実習生のプログラム作成・指導を担当しています。また、SNSの記事作成、障害基礎知識理解講座の企画運営をしています。

視覚障害と聴覚障害がありますが、職場ではパソコンの画面読み上げソフトの導入、拡大読書器の設置、会議資料の事前共有、慣れない場所での誘導、会議での席の工夫などをお願いして支援してもらっています。今後はSFで強みとされた戦略性を活かしながら、自らのビジョンでもあるユニバーサルツーリズムに関する業務に取り組んでいきたいです。

TOTO株式会社 山口 音耶さん

私は衛陶生産本部に所属して、新商品の原価管理・収益計算などを担当しています。私の障害内容は脊椎損傷・側弯症・クローン病ですが、会社での配慮は①使用しやすいデスクの準備、②専用ロッカーの準備、③段差の解消、という必要最小限の合理的配慮のみをしていただき、毎日の業務を行っています。趣味は車椅子バスケットボール、車椅子ソフトボールで、毎週土日は練習や試合で完全にふさがってしまっています。会社でも『多忙な人』と言われています。

SFの結果には大変納得。特に「成長促進」の資質が入っていたことは、障害のある学生さんにお話しするというACEのこの機会は、まさに成長促進の醍醐味です。人財を育てて、それが社会を変えていく糸口になる。障害があり、就活に悩んでいる人の力になりたいと思います。

メッセージとして、興味のある分野には積極的に動いて、情報を集めてください。先輩を頼ったり、学校の支援センターを利用したりしましょう。仮に面接で落ちたとしても、あなた自身が否定されたわけではありません。自信を持って挑んでください。

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社 松清 慶太朗さん

私は現在の会社に入る前、「Access Blue Program」という 日本IBMの東京基礎研究所と人事が共同で実施する、障がい者向けの長期インターンシップに参加しました。そこで自分の障害とIT業界の仕事の相性を確認してから、就職活動を始めました。障害内容は発達障害で、自閉症スペクトラムとの診断を受けています。

現在の業務は、クライアントである金融機関の保守プロジェクトです。基本設計とエラーの原因調査、システムの更新に対応することが主な仕事です。SFの結果から見た業務とのマッチングは、強みとされた『内省』『学習意欲』『個別化』のどれもが今の仕事に役に立つ資質です。常に新たな知識を習得し、それを理解した上で疑問点や結論を出し、アクションへつなげる。この資質のおかげで、早く情報をキャッチでき、プロジェクトに貢献できたと思います。今後はどのプロジェクトにも必要とされる汎用的技術のスキルを身に付けていきたいと考えています。

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