業界を知り、専門性を持って企業の戦力に!
ACEインターンシップ・レポート
日本アイ・ビー・エム株式会社

一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(以下、ACE)会員企業の合同企画として、障害のある大学生を対象にしたインターンシップを、2018年より開催しています。就業理解や自己の強みを認識するキャリアセミナーとも連動していることが特徴で、大学生は、ACEと繋がることで業種の異なる様々な企業のインターンシップに複数参加することができ、また企業側もACEを窓口として日本中の多くの大学とコンタクトすることが可能です。
オンラインでインターンシップ・プログラムを実施した日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、 日本IBM) 人事 Talent Acquisitionの丘沢 葉月さん、人事ダイバーシティ&インクルージョンの杉田 緑さん、東京基礎研究所 アクセシビリティ・センターの及川 政志さんにお話をお聞きしました。

これまで自分とは関係ないと思っていた業界を知る
ACE会員企業共同で実施するACEインターンシップにどのような意義があると感じていますか?
杉田さん杉田
 日本IBMでは、「Access Blue Program」(アクセス・ブルー・プログラム、以後ACB)と呼ばれる7ヶ月にわたる障害のある学生向けインターンシップ・プログラムを実施しています。昨年は、コロナ禍で初の全期間オンラインで開催しました。ワークショップやプレゼンテーションなど全てオンラインでできるか不安でしたが、結果的に総合満足度が過去最高となるプログラムが構築できました。今年は、その経験を生かし、引き続きACBとACEインターンシップ・プログラムをオンラインで実施することにしました。ACEインターンシップは、1.5日と7ヶ月のACBと比べると短期間ではありますが、ACBのエッセンスを取り入れ、障害のある学生さんが今後のキャリアを考えるターニングポイントになってもらえることを期待しています。ACEインターンシップに参加された方が、翌年ACBに参加されるケースも増え、ACBのことを広く知ってもらえる機会としてもACEインターンシップは重要な役割を持っています。

ACEインターンシップでは、どのようなプログラムを実施されましたか?
及川
 IBMグループの会社紹介、障害のある先輩社員による業務の紹介、グループ意思決定ゲーム、ACB現役生との交流、そして一番重きを置いたのが、チームに別れてのワークショップで、「業界を理解する」をテーマに実施しました。自分が日常利用している商品やサービスを起点に、その提供者・生産者について考え、さらにその後ろにいる企業にまで辿っていくことで、「業界」の概念を主体的に理解していくことを趣旨としています。包括的に業界を知る、知るためのプロセスを実践する、それがこれから始まる就活に大変役立ちます。証券業界のことを調査したグループから、「それまで、証券会社が身近でなく、株価に関するニュースも関係がないと思っていたが、実際は社会、経済を支える基盤になっている重要な業界であることが分かりました」と感想をもらえました。学生は、まだ社会・経済に対する視野が狭いので、それを広げてあげる手助けをこのインターンシップでできればと考えました。

参加された学生さんをご覧になっていかがでしたか?
丘沢さん丘沢
 オープニングでは、皆さん、緊張していましたね。ビデオをオフにして顔を出していない人もいました。しかし、グループに分かれてワークショップを行うと、自分も何か発信しよう、他の学生の意見を聞きながらそれに応えようと徐々に発言が増えていきました。一対一でなく、複数でワークショップを実施するメリットは、ここにあると思います。「1.5日という期間中に、受け身で説明を聞くだけでなく、たくさんのグループワークを体験することができて、自分の強みなども発見することができて充実していました。」や「実際に障害のある社員の方やACB現役生の話が聞けたのも良かったです。質問する時間も設けられていて、普段は聞けない話を聞くことができ、とても参考になりました。」などの感想をいただきました。
ワークショップの最後にチーム毎に発表してもらいましたが、プレゼン資料を工夫したり、率先して発表を行ってくれる人もいたりして、積極的な参加から学びや気づきを持ち帰ってもらえたのではないかと思います。

ACB現役生との交流は、いかがでしたか?
杉田
 ACB現役生は、ちょうど半年の期間が過ぎ卒業が近い時期で、目を見張る成長に心強くなりました。堂々と発言し、自らの考えを分かりやすく伝え、ACEインターンシップ生からの質問にも的確に回答し、議事の進行にもリーダーシップを取る姿は、まるで社会人の先輩社員のようでした。ACEインターンシップ生にとっても、経験を積むとこのようになれると思ったでしょうし、ACB現役生にとっても自らの成長する姿を後輩に示すことができ、双方にとって素晴らしい機会になったと思います。

テクノロジーを活用し、専門性を身につけて企業の戦力に!
来年以降に向けて、今後ACEインターンシップをどのようにしたいとお考えですか?
丘沢
 参加してくださった学生さんたちのアンケートで、「もっとディスカッションしたかった」という意見が多数寄せられたので、来年はもう少し期間を長くすることも検討しています。
IBMには数多くの職種があり、さまざまな障害のある社員が多数の部署で働いていますが、障がい者が所属していない部署もあります。そうした部署で、いかに障がい者が活躍していけるかが課題です。障がい社員のコミュニティなどを通じて社内外への発信を続け、インターンシップに興味を持つ学生さんをもっと増やすと同時に、障害のある社員を受け入れる部署も増やしていきたいと考えています。

及川さん及川 障害があるとできないことを考えてしまいがちです。しかし、できることはたくさんあります。テクノロジーも活用し、専門性を身につけていけば、障害があっても企業の戦力として期待されているという重要なメッセージを持って帰れるよう今後もカリキュラムを組んでいきたいと思います。

日本IBMのACEインターンシップに参加された方の感想をご覧ください。
・同じ障害のある方の職場経験が聞けて大変ためになった。日本IBMの説明だけでなく、それを含む業界や就職についての説明もわかりやすく、就活のための有用な情報を得ることができた。
・さまざまなプログラムが濃縮された充実の1.5日だった。企業、業界を知ること、障害のある社員の働き方、自己・他者理解など幅広い側面について知り、体感し、気付きを与えてくれるプログラムだった。
・地方にいながら、都内の大手企業のインターンシップに参加でき、全国各地の学生との交流の機会を通して、コミュニケーションやディスカッションをすることができた。
・業界・企業説明の話が最も印象に残った。中でも特に「お客様のお客様にとっての利便性の向上を実現するシステムをつくる」という言葉がとても印象深く、目の前のお客様だけでなくその先にも価値提供できる、そんな仕事・働き方がしたいと思った。
・グループのメンバーと協働で進めていく大切さに気付かされた。進行具合と残り時間、私を含めたメンバーそれぞれの個性など、作業内容の他に様々なことを考えながら協働で何かを進めて行く初めての経験であった。
・実際の業務の疑似体験のようなものもできたらさらに良かった。そういった体験ができるものがあればぜひ参加してみたい。そして、フィードバックをもっともらえたら次に生かせると思う。
・障害のある社員の方と少人数での雑談をする機会があれば、質問形式よりも話しやすかった。普段、障害のある方と話す機会がないので、ACEインターンシップに参加されていた他の大学生の方々ともざっくばらんに話す時間がもう少しあれば嬉しかった。
・参加前は、インターンシップ終了後は反省点の山積みで落ち込むだろうと思っていた。しかし、反省内容から次からはこうしようと冷静に振り返ることができた。失敗を否定せずチャレンジすることを保証してくれる場を社員の方々が作ってくれたと感じた。

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