2019年9月４日に関西大学の梅田キャンパスでACE関西キャリアセミナーを開催しました。32名の学生、企業で活躍する9名の先輩社員に参加いただきました。

キャリアセミナーは、ACE会員企業各社で開催されたインターンシップ・プログラムに参加した障害のある学生が、先輩社員や企業の人事担当者から直接話を聞き、就職・就労に関する疑問や不安を解消し、学生・企業相互で理解を促進することを目的としています。企画・運営をACE会員企業のメンバーで行ない、下記の３つのアプローチで構成されています。

1. ストレングスファインダー（StrengthsFinder*）による診断結果「５つの強み」を参考に、自身の特性や可能性についてポジティブな関心を高める
2. ACE会員企業で実施したインターンシップを通して、「就業理解」を深める
3. キャリアセミナーで障がいのある先輩社員や、他の障がいのある学生、人事系担当者等との交流を通じて、就職・就労に関する疑問や不安を解消し、理解と関心を高めると共に、ストレングスファインダーやインターンシップの振り返りを通して「自己理解」を進め、今後のキャリア検討につなげる

上記アプローチのもと、参加した先輩社員の就労経験を聞き、３回のラウンド・テーブル（ストレングスファインダーの結果の考察による自己理解、インターンシップ経験の振り返り、就業理解）によるディスカッションを行いました。

障害は個性、それをプラス思考へ　〜先輩社員からのアドバイス〜
企業で実際に働く障害のある先輩社員から、働き方や就職に関するメッセージが参加した学生の皆さんに送られました。
聴覚に障害のある社員の方から、「障害を自分の個性として受け入れています。仕事をする上でコミュニケーションは非常に重要です。一言一句全てではなく筆談でキーワードを書いてもらったり、この部分が分からないと指し示せるよう相手と共通の資料を用意して相互の認識にズレがないようにする、自分を呼んでもらう時は気づかないこともあるので挙手してもらうなど様々な工夫や協力をお願いしています。」と話されました。
また、学生さんへのメッセージとして、「障害はマイナスではなく、人脈づくりにプラスになることがあります。自分を理解してもらおうという思いは健常者より障がい者の方が長けています。」とのお話が印象的でした。
多くの先輩社員に共通していたのは、できないこととできることを明確に上司や同僚に伝えるということ。サポートを受けたい部分はしっかりと伝え、自分ができることで会社に貢献するということでした。
ACE会員企業メンバーから就職・就労に関する話を聞き、先輩社員の働き方の紹介を踏まえ、ラウンド・テーブルでのディスカッション後に、下記の意見が発表されました。

・障害のある社員がフルタイムで働く心構えとして、企業側に自身の障害を伝え、どういう配慮を受けたいか相談することがチームで仕事を進めるためには重要
・採用面接では、自分でやってきたこと、得意なことを伝えるといい
・自分の障害と受けたい配慮の説明を適切に、積極的に伝える
・視覚障害があり、それを公表するかどうか悩んだ。公表することにより支援を受けられるが、差別にあうこともある。先輩から、次に続く後輩への道筋を作っているんだという想いで公表していってはどうかとアドバイスを受けた

また、今回のキャリアセミナーから、大学関係者間のネットワークをより強固にし、障害のある学生と企業のパイプを太くするための意見交換会も並行して行われました。大学関係者の方から、「一大学だけでは支援の範囲も限られています。ACEの活動継続を今後も期待します。」との声をいただきました。

*StrengthsFinder 世論調査と組織コンサルティングの米国ギャラップ社が「人は自分の弱みを改善するよりも、自分の強みに意識を向けそれを活かすことで最大の能力を発揮する」という考え方に基づき開発したツール。Webサイト上で177個の質問に答えていくことで、自分の強みを知ることができる。