JALグループのアクセシブルツーリズムの取り組みについて

一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)では、会員企業による定例会を実施し、各活動内容の報告と共有、障がい者雇用関連の勉強会を行っています。ACE会員企業のJALグループは、誰もが飛行機を利用しやすい環境整備と多様な価値の創造を目指して、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進、アクセシビリティ向上を2軸として様々な取り組みを行なっています。
ACE定例会の事例紹介にて、日本航空株式会社 カスタマー・エクスペリエンス本部CX企画推進部 大竹 朋 氏(写真)、株式会社ジャルパック 中村 紀子 氏によりご説明いただきました。

JALグループは、何故アクセシブルツーリズムに取り組むのか
JALグループのアクセシブルツーリズムは、誰もが旅を通じて、より豊かな人生を楽しめる社会の実現を目指して、下記の大きく4つの重点的な取り組みを行なっています。

社員教育
公共交通機関である飛行機の搭乗にあたり、誰もが困った時にサポートでき、寄り添った対応ができる心のバリアフリーを実現できるマインドと接遇スキルの両面の社員教育につとめています。

環境整備
車いす利用者のための金属を使用しない木製車いすの導入、聴覚障がいのある人に対してのコミュニケーションツールとしての筆談ボードなど施設設備や支援ツールを配備しています。

情報発信
お客さまの不安を解消し、安心して飛行機に搭乗いただくための取り組みを広く発信するとともに、アクセシブルツーリズムに対する取り組みをきちんとお客さまに届けていくことに努めています。

アクセシブルツーリズム
お客さまに旅の楽しさ・豊かさをお届けするためにだれもが利用しやすいツアーやバリアフリーの選択肢を提供しています。特にJALグループでは、高齢者、障がい者が旅行先でも安心できるツアーの企画に重点的に取り組んでいます。

アクセシブルツーリズムに取り組む背景としては、障がいのある方々の人口比率は左利きとほぼ同じ10%弱あり、また高齢者の人口も30%でこちらは年々増え続けています。ビジネスの面からも同行者・同伴者が多い障がい者・高齢者のグループは、増収効果も見込めます。また、団体ツアーでは、行き先や現地での行動での制約があり、より自由度の高い個人ツアーがお客さまから求められていました。さまざまなホテルやレンタカー会社など社外の企業と連携することで障がいのある方々の個人ツアーの裾野を広げていくことに注力しています。

障がいのある方向け専用商品としては、現在、車いす利用ユーザー向けツアーのみであり、また旅行可能な方面に制限がありますが、専用商品の幅を広げ、将来的には誰もが自由に旅行できるようにしていきたいと考えています。

※障がいのある方向け専用商品とは、安心できるバリアフリーなホテル、移動環境、アクティビティをご用意している商品のことです。もちろん、通常のツアー商品に障がいのある方がお申込みいただくことも可能です。

障がいのある当事者社員も参画した商品開発
団体ツアーならではの良さもありますが、出発日、搭乗したいフライト、家族単位、個人単位で気軽に行動したいなどの声がお客さまから寄せられていました。これまで障がいのある方が旅行に行く際には、自身でホテルのロビー周りの段差やエレベーター、トイレ、客室などの設備が車いすでも利用可能か事前に電話などでお客さま自身で確認するのが大変でした。旅行会社や航空会社の電話相談窓口もありますが、やはり事前に問い合わせねばなりません。旅に出かけるハードルを少しでも低くするため、ホテルやレンタカーなどの情報をホームページ上に開示して、こうしたご意見に対応しました。
他にも電動車いすで折り畳むことができない場合は、福祉車両のタクシーを選択できる、そうした情報も必要でした。では、具体的にどこまでの情報開示をお客さまは必要とされているか。それには、やはり障がいのある当事者の意見が重要です。JALグループの株式会社JALサンライトで働く車いすユーザーの社員にツアー商品開発のプロジェクトに参画してもらいコンセプトが間違っていないか、ツアー参加時の懸念事項は何かを確認し、ホームページ上にホテルの詳細を掲載しました。バリアフリーのユニバーサル対応でない一般客室でも一部洗面台だけ幅が狭いなどその幅を示すことでお客さまに判断してもらうための情報も掲載しました。

コロナ禍でなかなか現地に行けない中、オンラインで繋いで現地に車いすを準備していただき、実際に行動してみるとスロープの角度やタオルの設置位置など、これまで気づいていなかったことが多々あり、そちらにもご対応いただきました。
障がいの状態はお客さまによって異なりますので、これまで通りの問い合わせ窓口の電話も継続しています。
ツアー商品の開発に参画した社員は、「商品開発の企画から関わった仕事はこれまでありませんでした。今回初めてその機会に恵まれ、自分が行きたかった沖縄の商品開発プロジェクトに参画できてとても嬉しく、やりがいを感じました。」と話されています。

定例会に参加したACE会員企業メンバーより、下記の感想が寄せられました。
「障がい者が利用しやすい施設は、高齢者にとっても利用しやすくなりますね。」
「ホテルの客室やバスルームの広さや調度品の配置・幅のホームページでの開示は、多くのお客さまの参考にもなると思います。」
「現在、アクセシビリティと切り分けがされていますが、障がい者のためというよりは、誰もが利用できるサービスの構築という基本的な取り組みに繋がります。」
「施設の情報開示は、車いすユーザーだけでなく、視覚障がいなど他の障がい者にとっても役に立つ情報ですね。」
「障がい者の視点が自社の製品・サービスに活用されていて、まさにACEの企業の成長に資する好事例になっています。」

JALグループでは、今後、視覚障がい、聴覚障がい、知的・発達・精神障がいの方も安全・安心に旅行できる商品にも取り組んでいきたいと考えられています。

車いすで行く沖縄は、こちらをご覧ください。
https://www.jal.co.jp/domtour/oka/wheelchair/

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